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はじめてのアメリカへ その1

 8歳で韓国釜山へひとり旅の後、12歳になると今度は夏休みの1カ月を利用してアメリカのオレゴン州へホームステイに行きました。  

「船でお隣の韓国へ行ったのだから、今度は飛行機に乗って少し遠くの国に行ってみない?」そう母から言われ、ワクワクしながら深く考えずに「うん!行きたい!!!」と即答した事を今でも覚えています。  

 私の実家のある香川県高松市から東京へ行くことは、当時は一苦労でした。地元の小さな空港は霧が多く発生する地域にあり、よく飛行機が着陸できず、そのため便がキャンセルになる事も日常茶飯事でした。そして、私が初アメリカへと出発するまさにその日も、高松空港から東京へ向かう便は欠航となってしまったのです…。  

 四国から本州へと渡るためには今でこそ瀬戸大橋、明石海峡大橋それにしまなみ海道と、大きな橋が3つも揃っていますが、当時はまだその中でも一番古い瀬戸大橋すら完成しておらず、連絡船に乗らなければ岡山に出ることさえできませんでした。慌てた母がパニックになりながらも、公衆電話から様々なところへ連絡を取り、他のルートを必死で探してくれたおかげで、なんとか岡山から東京へと向かう事ができ、予定通りオレゴン州へと向けて12歳、初のアメリカ、ホームステイの旅を出発する事ができました。  

 出だしからハプニング発生でしたが、普段はおっちょこちょいの母の、粘り強い意外な一面を垣間みることができました。子どもながらに、最後まで諦めなければ物事はどうにかなるんだな〜ということを身を以て体験することができた、結果的にはいい出来事となりました。  

 

 さて、成田空港からオレゴン州ポートランド行きの飛行機に乗り込みいざ出発。しかし!またしてもここでハプニング発生第2弾。機材繰りの関係とかなんとかで、急遽、ハワイに緊急着陸することに!! 訳も分からず、成田空港出発から約6時間後にはホノルル空港に降り立っていました。不安を抱えたまま降りたホノルル空港ではありましたが、外に出た際の空気がなんとも美味しかったこと。お花や木々の緑がキラキラしていたこと。子どもながらに「なんだ、ここは!」と大きな衝撃を受けました。  

 夕方から翌朝出発までの短い滞在ではありましたが、はじめてのアメリカ上陸は思いがけないトラブルで幸運にもハワイとなりました。まさか、自分が25年後の将来、しばらく暮らす土地になろうとは、12歳の私は当時想像さえしていませんでした。人生って不思議なご縁で繋がっているのですね。今、まさにこの瞬間に起きている事が将来に繋がっているかもしれない…そう考えると、ワクワクしてきます。

 

つづく

 

 (日刊サン  2016/3/25)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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