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ケアウホウ・レーン、伸び悩む契約数

www.keauhoulane.com

 

 カカアコの低価格賃貸アパートの新しいオーナーが、賃貸契約数の伸び悩みを打破するためライブ音楽と無料のカクテルやフードを振る舞うイベントを開催。開発事務所のガーディング・エドレンは11日午後17時30分から午後 9時まで、502ケアヴェ・ストリートにある209戸の中層アパート『ケアウホウ・レーン』で、グランド・オープニングと称しモデル・ユニットやアメニティを訪問者に案内した。

 同社が賃貸契約の募集を開始したのは今年の8月。業界も政府も低価格住宅への高い需要を叫ぶ中、これまでに33 戸しか売約していない。一方隣接したコンドミニアムタワー『ケアウホウ・プレース』は10月に完成しほぼ完売となっている。イベントでは来年ケアウホウ・レーンにオープ ン予定のオーガニックスーパー、ダウントゥアース、飲食店リアル・ガストロパブ、ヤヤズ、ティータイム、ヒバチがカクテルやオードブル、デザートを提供。来年の3月から順次これら飲食店のオープンが予定されている。「テナントが参加し、ケアウホウ・レーンが提供する予定の食事を皆様に体験していただけます」と、ガーディング・エドレンの共同経営者ブレント・ゴーク氏はイベント開催の発表時に語った。同社はオレゴン州を本拠地とする開発事務所で、カメハメハ・ スクールが所有する土地にケアウホウ・レーンを建設し、不動産管理を担う。

 同社の不動産管理ディレクター、ジュリア・Rアルバノ氏によると、契約数の少なさは、契約希望者の収入を基に厳しく制限されている入居資格の審査プロセスが、複雑で時間がかかるゆえ。全209戸のうち167戸は、年収がホノルルの中間年収額(1人世帯で7万3300ドル、2人世帯で8万3700ドル、4人家族世帯で10万4600ドル)より低い世帯に提供される。月額家賃は298~350スクエア・フィートのスタジオタイプが1400ドルから。451スクエア・フィートの1ベッドルームタイプが1639~1764ドル。7632~745スクエア・フィートの2ベッドルームタイプが1933~2108ドルと設定されている。

 残りの42戸は、年収が中間年収の80%に満たない世帯に提供され、1人世帯では5万8640ドル、2人世帯は6万6960ドル、4人家族世帯は8万3680ドルまでに限定される。月額家賃はスタジオタイプが1288ドル、1ベッドルームタイプが1372ドル、2ベッドルームが1637ドル。全てのユニットは空調が完備され、家賃には光熱水費は含まれない。駐車料金は別途月額145ドル。収入制限が設けられているため、全ての契約希望者は給与明細、納税申告書、資産や口座情報を提出しなければならない。これまでの入居資格審査のプロセスのせいか、契約数はガーディング・エドレンの予想に遠く及ばないという。「もう少し契約数が伸びるといいのですが」とアルバノ氏。

 地元の住宅市場アナリストで低価格住宅の需要と供給について研究しているリッキー・キャシディ氏は、中間年収層の中間価格帯の賃貸物件への需要は大変高いと話す。問題は入居希望者が審査のハードルの高さに契約を思いとどまってしまう事態だという。「入居資格を証明するのに大変苦労しています。資格審査が厳しくなるほど市場に歪みが生じるでしょう」と同氏。2014年に同氏が発表した研究によれば、ケアウホウ・レーンの設定する年収制限と月額家賃が同じ価格帯の物件が2013年時点で1822戸必要であり、2020年にはさらに追加で1462戸必要だという。

 アルバノ氏は、週に15~20人がケアウホウ・レーンの見学に訪れ、好意的なコメントを残していると話す。ユニットは小規模だが実用的で、アパートには室内ラウンジ、2つのグリル付きの屋外デッキ、メンテナンスルームと駐輪場を完備。さらに、同ブロックに建設予定の市鉄の駅に繋がる歩道も直結している。

(日刊サン 2017. 11. 25)