ホノルル市議会の委員会が15日、飲食店の発泡スチロール容器の使用を禁止し堆肥に分解可能な『コンポスタブル容器』の使用を求める法案の採決を保留した。この第71号法案の保留に、複数の環境保護団体が怒りと苛立ちを表明している。
公共事業・インフラ・持続可能性委員会の委員長であるキャロル・フクナガ議員は、様々な側面から多くの懸念事項が浮上しているが、法案を無期限に棚上げするつもりは無いと語った。「私達は現在、環境保護団体や飲食業界、環境サービス局と共に第71号法案に対応する議論を進めています」と述べ、議論が新法案成立に向かえば前進するだろうと加えた。委員会でフクナガ議員が法案の採決を保留すると提言した際、反対意見を述べる委員は1人もおらず、次の議題に移った。委員会レベルでの採決の延期には通常、正式な投票は行われないが、環境保護活動家からは投票で決するべきだったとフクナガ議員を批判する声も上がった。
第71号法案を提出したのはキンバリー・パイン市議会議員。15日の市議会では40人以上が証言を行い、そのうち約4分の3は発泡スチロール容器の使用禁止を求めていた。非営利団体カフ‐マナの創設者フィリップ・ハーモン牧師は、同団体が農園やカフェでコンポスタブル容器を使用しており「5年前は容器の値段は1つ20セントでしたが、現在は11セントです。どんな食事の油分でも漏れません」と証言。他の飲食店経営者からも、環境保護団体と同様に発泡スチロール容器には動物や環境、人間にも有害な成分を含んでいると証言した。ビーチの環境保護を訴える団体の代表は「スチレンはがん、視覚や聴覚の喪失、記憶や集中力への障害、神経システムへの影響等に関連しています。体内で化学物質が蓄積され、健康に問題を生じさせるのです」と発言。本派本願寺ハワイ別院も再利用可能な容器の利用に努め、メンバーに自分の食器を持ち込むよう推奨していると述べた。
ハワイ食品産業協会、小売業協会、ハワイのゴミ問題に取り組む飲食店と小売業者で構成された団体『マラマ808』は、法案に反対する証言を行った。ハワイ食品産業協会のローレン・ザーベル氏はコンポスタブル容器が堆肥化施設に集められるわけではない為環境に良い影響を与えず、ビジネスのコスト増加や消費者への値上げという結果を呼ぶだけだと主張。
同氏は、法案では現在広く普及している卵の殻を再利用した容器さえも禁止されるため、莫大なコスト増加となると強調した。他には堆肥化容器の安全性に不安を感じると言う意見、使い捨て容器製造業者の雇用喪失への不安等が証言された。
(日刊サン 2017. 11. 25)