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 ニューヨーカーの夫や友人たちに囲まれて生活をしていると、よく思うことがある。子どもから大人まで、彼らの多くは人とコミュニケーションをとることの達人だ。特にパーティーでは、その本領を大いに発揮する。絶妙な会話の切り返し、話題の引き出しの多さ、そして何より「人見知り」という言葉などこの世に存在しないのではないかとさえ思ってしまうほど、人懐っこい。  

 

 先日、マンハッタンのイーストビレッジ地区の友人宅に、14人の人たちが集まって小さなホームパーティーがあった。数年前に、ビル1棟をまるごと買って改築された友人の自宅。インテリア雑誌からそのまま出てきたような、オシャレで洗練された極上の空間に集まった14人のメンバーは、国も出身地もさまざま。ニューヨーカーの他に、フロリダ州やコロラド州、アルゼンチン、ロシア、スペイン、イタリア、シンガポール、そして私は日本から。NYのパーティーではよく見られる光景だが、まさに、ひとつのテーブルを囲んで小さな世界一周状態だ。  

 このパーティーに参加したのは、パーティーを主催した友人とその友人たち。半分以上の人たちがお互い初対面だったのだけれど、さすがコミュニケーションの達人たち、パーティーが終わる頃には、もうずっと前から親友だったかのように、みんな随分と仲良くなっていた。  

 

 昔、海外でのパーティーにまだ慣れていなかった頃、緊張やら言葉の壁、そして人々のエネルギーの強さに圧倒されまくりだった。けれど、様々なパーティーに参加するにつれ、自由にのびのびと自分自身を表現する彼らから、その場を思いっきり「楽しむ」という精神を学んできた。  

 一期一会の、この瞬間を楽しむ。そう自分自身で決めると、不思議とリラックスして変な力が抜ける。  

 どこで息継ぎをしているのかわからない程早口な英語で話しかけられても、どんなに強いなまりの英語で話しかけられても、煌びやかでため息が溢れる程に美しい女性を前にしても、どんな状況に置いても「楽しむ」という度胸が、以前より少しは身についてきた…ように思う。  

 

 ニューヨークでのホームパーティーは、豪華な食事や思いがけない出逢いがあるだけでなく、私にとっては、今までの自分の殻を破って、また一歩前へ出る勇気を与えてくれる、そんな成長の場にもなっている。

 

(日刊サン  2017/10/18)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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