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ホノルル妙法寺、恒例の秋祭り開催

お菓子を配る子供たち

 

 今年で建立87周年を迎えた日蓮宗ホノルル妙法寺で、12日、毎年恒例の秋祭りが開催された。一般の人々や檀家合わせて約60人が参加し、菩提樹の繁る境内で秋の1日を楽しんだ。

 始めに、本堂で「秋祭り御会式報恩法要」が行われた。本尊の前に座った山村尚正住職が経を唱え、参加した人々は目を閉じて手を合わせながら祈りを捧げた。約30分の法要の後、本堂隣のレクリエーションホールで、合気道、空手の演舞、フラなどのパフォーマンスイベントが開かれた。

 空手のパフォーマンスでは、剛柔流空手道龍虎会ハワイ道場の道場長、田村武さんが型の演武を披露。また、田村さんに空手を習う4歳〜10歳の子どもたち約10人が組手の演武などを行い、日頃の練習の成果を披露した。空手着を身につけた小さな子供達が横一列に並び、懸命に空手を観せる姿に、会場からは大きな拍手が送られた。

龍虎会ハワイ道場道場長の田村武さんと生徒たち

 

 その後、渡辺秀子さん率いる裏千家「秀和会」のメンバーたちが、参加者全員に抹茶と和菓子を振る舞う茶会が行われた。テーブルの上に炉釜や柄杓、茶入れなど、本格的な茶会で使用する道具が用意され、お茶を点てる過程が解説付きで披露された。

本格的な茶道のお点前を披露

 

 その後、赤やピンクの着物を身につけ、髪を結い上げた5歳〜10歳の女児たちが、お盆を手に懐紙に乗せたお菓子と抹茶を一人一人に振る舞った。お辞儀をしながら「お菓子をどうぞ」と差し出すあどけない姿に、参加者たちは「可愛いらしいわね」「ありがとう」と、笑顔で菓子と抹茶を受け取った。

 その後、僧侶をする傍ら笙の奏者としても活動しているマウイ島日蓮宗プウネネ教会の川口智徳師が、雅楽の楽器「笙」についての簡単なレクチャーを行い、演奏を披露した。川口師は笙について「笙とは日本の伝統音楽『雅楽』で使う管楽器です。吹口のついた『ふくべ』という部分に17本の細い竹管が配置されています。竹管に空いた指穴を押さえて、吹口から息を吸ったり吐いたりし、金属製の簧(リード)を振動させることによって音を出します。教会にあるパイプオルガンと同じ原理です。笙の中は露結しやすいので、演奏の前や間にこうして温める必要があります」と説明。茶会で使った炉に笙をかざして温めた後、演奏を披露した。参加者たちは目を閉じて、ホール一杯に広がる荘厳な音色に聞き入っていた。

笙を演奏するプウネネ日蓮教会の川口智徳師

 

 一般から参加した40代の女性は「ホノルル妙法寺には宗教や宗派を問わずお参りできると聞きました。今日のお祭りにはその寛容さや自由さがにじみ出ていて、初めて来たにも関わらずとても楽しく和やかに過ごさせていただきました。ぜひまた参加したいです」と感想を述べた。