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 最近、特に若い方から“国民年金に加入しても意味が無いのでは”“いつまで年金制度が続くのか疑問だし”といったコメントが寄せられます。でも私はやりくりして保険料を払えるのであれば少し無理してでも制度に加入されることをお勧めしています。  

 年金は長い人生に於けるリスクに対して、国民全体で保険料を出し合い、社会全体で支えていく仕組みです。国民年金だけでは老後の生活は十分ではありませんが、生活の基礎(ベース)となるものです。国が存続する限り、無くなることはありません。年金は老後の保障だけではなく、加入者がケガや病気により障害が残った時は障害基礎年金、亡くなった時はその遺族に遺族基礎年金が支給されます。

 

 今年の8月から日本の年金の受給資格は加入25年以上から10年以上に短縮されました。でも10年の加入では年金額は僅かなものです。ちなみに国民年金は40年加入して65歳から年額779,300円です。ですから加入10年ですと779,300円×10年÷40年=194,825円となります。  

 これでは生活の基礎とは言いがたい額ですね。それと遺族年金の受給資格は加入期間25年以上が必要です。その場合、米国にお住まいの方は実際の年金加入期間+カラ期間+米国年金加入期間の合計(重複しない期間が対象)が25年以上となればOKです。その場合、受給資格は通算で判断されますが年金額は実際に保険料を支払った期間に対応したものです。頑張って加入25年以上をぜひ目指してください。  

 年金加入期間にカラ期間や米国年金加入期間を加算しても10年に満たない方や、年金額を増額されたい方は、海外から任意加入の国民年金に加入されることをお勧めします。  

 

 ここで、海外からの任意加入の国民年金の制度についておさらいしておきます。

 

●加入条件……日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方は、国民年金は強制加入ですが、海外在住者で日本国籍の方は任意での加入となり65歳まで加入することができます。

●保険料……月額16,900円 ただし国が国民年金の総費用の半分を負担しており、その意味で有利な制度となっています。

●国民年金付加年金制度……国民年金の一般保険料に加えて付加保険料(月々400円)を納めると付加年金として「200円×付加保険料納付月数」受給できます。これは非常にお得な制度で、海外からもぜひ加入されることをお勧めします。

●加入手続……保険料を納める方法は、日本国内にいる親族等の協力者が本人に代わり納める方法と、日本国内の預金口座から自動引き落としをする方法があります。

 

(日刊サン 2017. 10. 28)

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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