ハワイには132基のダムが存しているが、その90%は『危険性大』と診断された。この基準は場合によっては決壊し人命を失う可能性がある状態を示唆する。州の土地自然資源局(DLNR)によると危険レベルの高いダムが増えた理由は、標高の低い下流に当たるエリアの土地開発の増加だという。
州と提携機関は、労働力と資金が限られており地域の協力も必要となるため132のダム全てを検査するのは非常に困難だと話す。ヌウアヌ貯水池を数十年間管理している水供給委員会(BWS)は2日、DLNRの検査に参加し、ダムの構造的な安全性と周囲の植生の生育状況を確認した。「ヌウアヌ貯水池は今まで一度も氾濫したことがありません。雨が40日連続で降った時も満水にすらならず、問題はありませんでした」と、BWSの広報責任者キャスリーン・パヒヌイ氏。
DLNRは全ての貯水池とダムに5年に一度の調査を行うよう定めているが、2006年カロコ・ダムの崩壊により7人が死亡する事件が発生し、調査を2年毎に実施しようと試みている。州は民間のダム所有者やBWSのような運営機関にも定期点検の実施を推奨。「私達は水位を監視するパイプを設置しており、BWSのオフィスのコンピューター数台でも遠隔で監視が可能です。しかし、ダムの水位を観察し確認する時は祈りにも近い心境です」とパヒヌイ氏。
危険性が高いと判断されたダムの所有者は、DLNRと共に緊急時対応計画を作成する必要があるが、同局によれば現在計画を作成しているダムは一つも無いという。
ダムの近くを通過する時にも警戒が必要だ。ヌウアヌ貯水池はルルマフ・フォールズ・トレイルの近くに位置しており、ハイカーが私有地を歩いている姿がよく目撃されている。『ダイビング、飛び込み禁止』という看板の掲示もある。「このエリアは大雨が降った際に洪水が起きるのを予防し雨水管理を行う目的の土地です。プレイグラウンドでも娯楽施設でもありません」とパヒヌイ氏は語った。
(日刊サン 2017. 11. 11)