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チャイナタウンの低価格住宅改修計画が完了

 1300万ドルの低価格住宅保護計画の一環として、ホノルル市所有地に建つ低収入層向け複合アパートメントからギャンブル施設を排除する大規模な改造が25日に完成を迎え、セレモニーが開かれた。地元開発業者のアヘ・グループが築38年のリバー・パウアヒ・アパートを3年間かけて取得、改修したもの。このアパートに住むのは49世帯で、月額家賃は45ドル。「住人の皆さんために、建物の寿命を延ばし住みやすくできたと思っています」と、同グループCEOマカニ・マエヴァ氏は語った。

 

 リバー・パウアヒは、チャイナタウンの隅に位置するリバー・ストリートとパウアヒ・ストリートの角にある4階建ての建物。以前は内装は標準以下でメンテナンスは放置され、荒廃していた。さらに隣接の酒店は違法なギャンブル施設と化し、周囲は犯罪の温床となっていた。アヘとサウスポート・ファイナンシャル・サービス社がこの建物を700万ドルで購入。市への借地権は75年間契約に改正され、低収入層の住民への家賃を61年間低価格に維持するよう制限された。

 

 マエヴァ氏のチームは300万ドルを改修に投資し、水道設備や電気設備のアップグレード、新しい植栽、屋根の交換、塗装、警備強化を行った。内装には、床材の張替え、塗装、照明の交換が施され、キッチンと浴室は新しい建材と器具へと改修された。酒店は管理者のオフィスになり、今後は管理人が常時待機する。

 

 アパートの住人で新しくリバー・パウアヒのコミュニティ・マネージャーに就任したサポル・メリさんは、酒店が排除され違法行為が行われなくなり住民は安全を実感していると話す。居住歴32年のリンダ・ベルスさんは「全てが新しくなりました」と改修を喜んでいた。

 

 リバー・パウアヒを長期間所有していた前オーナーとアメリカ合衆国住宅都市開発局(HUD)が交わした契約で、住民への家賃補助は2017年8月が期限とされており、更新される見込みがなかった。この契約がなければ、オーナーは家賃を市場価格まで上げることも可能となる。マエヴァ氏は2014年にこの事実を知り、買収改造計画を開始した。同氏はこれまでハワイの住宅新設または低価格住宅の改修プロジェクト7件に携わってきた。

 リバー・パウアヒの前オーナーで開発業者であるジョージ・ファン社は借地契約が2035年まで残っているにも関わらず、アヘへの売却を快諾。

 

 マエヴァ氏はアパートの購入と改修費用として930万ドルのフラ・マエ特定財源債の支援を受け、ハワイ住宅融資開発公社(HHFDC)から66万ドルの州と連邦の税額控除を適用されている。今回、HUDとの新しい契約で、家賃が居住者の収入の30%を超えないことを保証する第8項の証書が作成された。家賃は月額平均348ドルで、水道光熱費を含み45ドルから1413ドルの範囲で設定されている。間取りは1ベッドルームと2ベッドルームのユニット。マエヴァ氏は改修計画に伴う家賃の変更や転居措置は無かったと話す。改修計画は複数のフェーズに分けられて進み、住人は改修後の自宅に戻るまで3週間ホテル等の宿泊施設に滞在。その費用は開発業者が負担した。

 

(日刊サン 2017. 11. 4)