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中高生のためのワークショップ・イベント、ハワイ日米協会主催 ジャパン・デー開催

サキハラ先生から「右前」を教わる生徒たち

 

 ホノルル市のアロヒラニ・リゾート・ワイキキビーチ(旧パシフィック・ビーチホテル)で、26日、ハワイ日米協会主催の「ジャパン・デー」イベントが開催された。このイベントでは、ハワイ州内の中高生に日本の文化に親しんでもらおうと、盆踊り、習字、生け花、空手、着付け、折り紙、そろばんのワークショップが行われた。参加したのは、ビッグアイランドのカメハメハ・スクールを始め、オアフ島内のナナクリ・ハイスクール、セント・ルイス・スクール、ワイアナエ・ハイスクール、ワイパフ・ハイスクール、ワシントン・ミドルスクールの各学校から集まった生徒131名。生徒たちはそれぞれ17〜8人のグループに別れ、ボールルーム内に設けられた7つのコーナーを30分交代で回りながら、ワークショップを楽しんだ。

「習字は集中力が養えそう」

 

 盆踊りのコーナーでは、講師のベティー・デラ・クエスタさんを始めとした「ハワイ新鼓舞会」のメンバーたちが、伝統的な古典民謡から現代的なポップ音楽まで、数曲の盆踊りの振りを教えた。うちわや手ぬぐいを手にして輪に加わった生徒たちのほとんどは、盆踊りが初体験。輪の中央で踊る新鼓舞会のメンバーたちの振りに合わせて踊り始め、最初はぎこちなかったものの、単純かつ軽快な盆踊りの振り付けを10分ほどでマスター。互いに笑顔を交わしながら踊りを楽しんだ。

 

 空手のコーナーでは、ジャパン・インターナショナル・空手センターのジョーダン・シルバさんとランディー・チャンさんが講師を担当。簡単な空手道の歴史や実技をレクチャーした。空手の発祥は15世紀頃の琉球王国。沖縄古来の「手(ティー)」という拳法が、中国や日本の武術の影響を受けながら発展し、空手道が成立したと考えられている。大正時代に沖縄から日本本土に伝えられ、第二次世界大戦後には世界中に普及した。実技では、ジョーダンさんが6尺(約180cm)の棒を使った「棒術」の型を披露した。ダイナミックな振りと間合いの操作に、生徒たちは興味深そうに歓声を挙げた。その後、二人一組になり、相手の手首をつかんで身を守る護身術を体験。ワークショップに参加した生徒の一人は「空手の発祥地が沖縄だとは知りませんでした。護身術は覚えたけれど、使う機会がないよう願っています」と語った。

棒術を披露する講師のジョーダン・シルバさん

 

 着付けのコーナーでは、ユニバーシティ・ラボラトリー・スクールの「着物プロジェクト」で着付けを教えるジーン・サキハラさんが講師となり、サキハラさんの生徒で12年生のカンナ・ヤワタヤさん、リミ・キムラさんが、着付けの指導をサポートした。着付けの前に、サキハラさんが、胸の前で左右の腕を交差させて「レフト、レフト、レフト。レフト・オーバー・ザ・ライト」と唱える「右前」の覚え方を説明した。生徒たちはそれを復唱しながら着付けに挑戦。女子生徒は赤地、紺地に百合や花火の柄、男子生徒は黒地、紺地に刺子縞や格子柄の入った浴衣を手に取り、悪戦苦闘しながら色とりどりの着物を楽しんだ。ヤワタヤさんとキムラさんは「サキハラ先生に着付けを習い始めて3年が経ちますが、日本の着物文化は奥が深く、勉強するたびに新しい発見があります。着物の面白さをほかの中高生にも知ってもらいたいと思い、このワークショップに参加しました。皆楽しんでくれていて、私たちも嬉しいです」と感想を述べた。

着付けに挑戦

 

 ハワイ日米協会事務局長のレイナ・カネコさんは、「このジャパン・デー・イベントは、年に2回開催されています。対象は州内の高校生ですが、今回はワシントン・ミドルスクールから初めて11名の中学生が参加しました。次の開催は来年5月、場所はベレタニア・ストリートのハワイ日本文化センターを予定しています。日本文化センターには茶室があるので、今回行ったワークショップに茶道も加えたいと思っています。また来年は、ハワイの日系移民史150周年を迎えるにあたり『元年者』に関するワークショップなども考えています」と語った。

そろばんを教える「アラキヒロヤそろばんスクール」のヒデアキ・オオシマ先生

 

(取材・文 佐藤友紀)