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スプリンクラー設置法案、市議会で一時保留

Theodore Trimmer / Shutterstock.com

 

今年の7月14日に発生した高層コンドミニアム、マルコ・ポーロの火災事故では4人が死亡、5人が重傷を負った。この火災事故以降、ホノルル市議会では入居者やオーナーに負担をかけない高層住宅の安全対策を模索し続けている。議会に提出された第69号法案では、オアフ島内の約360の建物、約4万戸の住宅ユニットを対象に消火スプリンクラーシステムの追加設置を義務付ける。しかし、市議会の法務執行委員会は26日、スプリンクラー設置を推奨する意見の厳格性が不十分だとし2度目の決裁延期を決定した。

 

ホノルル消防局チーフのマニュエル・ネヴェス氏は26日、建築家や技術者を含む専門家達によるオアフの老朽化した高層ビルの評価と、スプリンクラーの設置状況を確認して各ビルごとに火災安全策が十分かどうかを、住宅火災安全委員会から提出すると発表。高層ビルの個別評価によって、スプリンクラー追加設置対象のビルは360棟からおよそ150棟に削減されると述べた。「例を1つ挙げれば、現状、全ユニットが屋外に避難できる経路を持つ19階建てまでのアパートメントの場合、消火スプリンクラーの設置は必要ありません。360棟の対象ビルの多くがこれに該当します。また9階建てまでの屋内階段が設置されたビルもスプリンクラーは不要です」と、ホノルル消防局のアシスタント・チーフ、ソクラテス・ブラタコス氏。

 

スプリンクラー設置義務化については高層ビル住民から、過度で不公平なスプリンクラー設置費用を負わされると憤る声も上がっていた。「義務化対象のビルの棟数こそ重要です。火災安全委員会に精査してほしい数字です」と、市議会議員のキャロル・フクナガ氏。市、州の職員とコミュニティのメンバーで構成された火災安全委員会は、10月5日に議会に提出する推奨意見について採決を取る予定。その後市議会は10月24日の議会で69号法案を再度取り上げる予定だと、ロン・メナー委員長は述べた。さらにメナー委員長は、11月1日の議会に向けてスプリンクラーシステム設置費用を補助する金銭的な奨励案を安全委員会が提出することを望んでいるとも明かした。

 

(日刊サン 2017. 10. 7)