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小売店の命題は利益の追求。ロイヤルハワイアンセンターは高級ブランドの誘致に5000万ドル以上を費やして勝負に出る。この投資によってセンターの31万スクエアフィートの売り場面積のうち30%を高級店舗が占める事となり、同センター史上最多の割合となる。高級店を増加させカラカウア・アヴェニューの高級小売店勢力として君臨したいと、同センターの経営と賃貸契約を管理するザ・フェスティバル社のCEOロザリンド・J・シャーギン氏は話す。同センターを所有するのは、JPM・アセット・マネジメントの関連会社であるRHCプロパティ・ホールディング。

 

カラカウア・アヴェニューは、全米で5番目に1スクエアフィートあたりの売り上げが多いショッピング・ストリートを目指しており、NYのフィフィス・アヴェニュー、マディソン・アヴェニュー、シカゴのミシガン・アヴェニュー、カリフォルニアのロデオ・ドライブに続きたいと掲げている。

 

高すぎる目標と思われていたが、ティファニーとエルメスのハワイ旗艦店や人気の小売店やレストランブランドを獲得し、実現に1歩ずつ近づいている。ティファニーは2018年中頃に3階建て1万1126スクエアフィートの売り場面積で同センターに出店予定。エルメスは2002年から同センターに出店しており、同ブランド店で世界で8番目に売り上げの多い店舗に成長。売り場面積を1万2301スクエアフィートに拡大するため7月から建設準備が始まった。カラカウア・アヴェニューに面した3階建ての売り場が12月に完成する予定で、それまでは店舗を一時移動して営業中。

 

新規出店や改装は続々と予定されており、高級サングラス店のヴィトラ・アイウェアが10月、高級食料品販売店のディーン&デルーカは今年のホリディ・シーズンに、ミシュランに格付け店のうち世界で最も安いレストランとして有名な飲茶のティム・ホー・ワンも翌年2月にオープン予定。45秒で好みの炒め物を提供するヨーロッパ生まれのウォク・トゥ・ウォークが今年末頃パイナ・ラナイ・フード・コートに出店。アイランド・ビンテージ・グルメはセンター内のコーヒーショップにアイランド・ビンテージ・オーガニック・バーを増設し2018年中頃にオープンする。日本料理レストランのサントリーは9月か10月に店舗を改装し11月に再開予定。

 

シャーギン氏は、センターは2億5千万ドルの改装計画を2005年から開始し、時代遅れと酷評されたショッピングセンターのテナント占有率は30%から90%まで上昇したと話す。さらにテナントとセンター設備の改良に1億ドルの追加投資を決定。そのうち5千万ドルはエルメスとティファニーの店舗建設費用に充て、A棟にはエスカレーターを増設し4階にガラス張りのキャノピーを設置する。2019年には新たな再開発計画に投資する予定だという。

 

「5カラットのダイヤをeBayで購入できamazonでロレックスの新作が手に入る現在の市場では、高級品の分野でも競争が必要です。ロイヤルハワイアンショッピングセンターはワイキキで1番の高級小売店という当初の位置づけに回帰する狙いでしょう」と、ワイキキの小売業界アナリストであるステファニー・ソフォス氏。同氏によると、センターはワイキキで高級品を購入する場所として1980年に開業したが、高級店舗の並ぶ2100カラカウア・アヴェニューがワイキキを代表する通りとしてオープンした事で当初の立ち位置が弱くなった。2005年まではワイキキの投資事情も悪く、弱体化が進んだと同氏は加えた。シャーギン氏は当時について「世界的な高級店舗としての再建を目指し2005年に私達は再起動しました。ワイキキ・ビーチ・ウォーク・リノベーションと時を同じくし、各ストリートへ高級小売店を拡張させワイキキに地元住民を呼び戻しました。ハワイ住民の来訪は30%も増加しセンター史上最多のレベルに至ったのです」と述べる。

 

多くの小売店が奮闘する中ロイヤルハワイアンセンターが選択した拡大計画は、ここ数年間ワイキキを訪れる観光客の間で高まる高級志向に先手を打つ構えだろうとコーリアーズ・インターナショナル副社長のマーク・ブラットン氏は話す。ハワイ観光局の7月27日の統計報告によると、今年に入ってからハワイ訪問者の消費額は84億円に達し9%近く増加。この勢いが年末まで続けばハワイ観光業界は6年連続で消費額の増加という結果を得る。「世界有数ブランドへの投資もタイミングも的確です。費用は多額ですが、センターにとってはさほど大きなリスクとならないでしょう。ワイキキのホテルも投資され、高収入の顧客が訪れます。カラカウア・アヴェニューは交通量も魅力も増して大注目の場所です」と、ブラットン氏が語った。