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2カ月半のNY滞在を終え日本に一時帰国するため、今朝、マンハッタンの自宅を出発しました。今は日本へと向かって飛行する機内です。窓の下には、6月も終わりだというのに真っ白い雪に所々覆われた美しく、ダイナミックなアラスカが広がっています。  

 

初めて私がNYを旅したのは、今から18年前のこと。一人で3泊5日の旅をしました。当時私は若くして結婚、そして離婚を経験し、人生の大きな試練を味わいしばらくの間家から出ることができないほどに、落ち込んでいました。  

そんなある日、ふとテレビをつけるとそこにNYの街が映し出されていました。ぼ〜っとその映像を眺めていた時、ふと「この街に行ってみたい!」という衝動が生まれたのです。今思えば、映像の中のNYに、失いかけていた、何か希望の光みたいなものを見出すことができたんだと思います。  

翌日、NY行きのチケットを手配。ここまで本気の自分にも驚きました。そして、テレビでNYの街を観てから一週間後、私は実際にその街に一人立っていました。その時に味わった感動は決して今でも忘れられません。  

バックパックを背負い、目的地もなくひたすら一人マンハッタンの街を歩きまわりました。耳から聴こえて来るのは今まで聞いたこともない国の言葉。200を超える国の人々が、この小さな街に共存している。公園のベンチに座ってしばらく行き交う人々を眺めました。髪の色、目、肌の色、どれをひとつとってもこの世に誰一人として同じ人間はいない。正と負とが入り交じる環境の中、それぞれがそれぞれの人生を生きている。  

 

たった3泊の旅が終わる頃、私は以前の私とは違っていました。再び、生きる力を取り戻せたのです。あの時、NYへ行っていなければ今頃私はどうなっていたのでしょう。NYの街に救ってもらいました。  

国内海外を問わず、旅は人生を変え成長させてくれます。その時々で、自分に必要な場所や出会う人って実はちゃんと準備されていて、しっかりと心の声に耳を傾けることで行動すべきタイミングがわかるのかも知れません。  

 

また、いつどのような新たな旅が始まり、そして人生を変えるような新しい出会いが待ち受けているのか。一年後はどこで生活しているのでしょうね。この広い世界で、まだ見ぬ新しい土地へまた出掛けてみたくなりました。

 

「ニューヨーク編」 おわり

(日刊サン  2016/6/27)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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