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NYから地元、高松に戻り数日。いつもお世話になっている大学の先輩から連絡が入った。ポルトガル人と結婚した娘さんと、お孫さんMくんがちょうどポルトガルから夏休みで帰省しているので、一緒に串焼きを食べに行こうというお誘いだった。  

ポルトガルで暮らしている娘さんと先輩のお孫さんMくんは、毎年夏になると高松に帰ってくる。私たちもMくんが小さい時から成長を見てきているのだが、ここ数年はタイミングが合わず、今回は4年振りの再会だった。  

 

10歳に成長したMくんは、随分と大人の雰囲気。会話をしていても一人の大人と話をしているような感じだ。Mくんは3カ国語を流暢に操れる。私や先輩と話す時は日本語、私の夫、アダムとは英語、ママとはポルトガル語。カウンターしかない店内に、英語とポルトガル語が飛び交う度に、向こう側に座っているおじさまたちから視線を感じる。気持ちはわかる。高松も国際的になったものだ。私も、ついNYにいるんじゃないかと錯覚してしまう程だった。  

そこへ、注文を聞きに来た店員さんがなぜか会話に加わった。カンボジア出身というその男性。Mくんに向かって大きな笑顔と、たどたどしい日本語でこう聞いてきた。「ショウライ、オヨメサンハニホンノヒトトポルトガルのヒト、ドッチガイイデスカァ〜??」、、、え?! 唐突だな! 笑。するとMくんはとっさに、「えーーー! そんなんまだわからないよぉ〜!ぼくまだ10さいだから〜!」とボディーランゲージ全開で困ったような自分を表現。すると、カンボジアのお兄さん、「ワタシトアナタノオトウサンドッチノホウガモットカッコイイデスカ?」と、すかさず次の質問へ突入。Mくん、「うーん…。おとうさんもかっこいいけど、おにいさんも、かっこいいですよ!」と、たった10歳にして、機転を利かせ、大人顔負けの素晴らしい返事を瞬時に切り返した。相手を思いやる心を持っているMくんに、感心のあまり思わず拍手をしてしまった。  

 

まだ地球上に生まれて10年しか経っていないMくんだけれど、ヨーロッパの国をはじめ、世界各地をママと旅している。常に、新しい人と出逢い、新しい環境で過ごすことが多いのだそうだ。  

とびっきりの笑顔と個性で会話を楽しみ、そして相手への思いやりを忘れないMくん。  

この3つがあれば、心と心のコミュニケーションが円滑に広がって、人とのご縁が国を越えてますます広がっていくだろう。  スーパー国際人の小学生Mくん。彼のコミュニケーション術に大いに感動した、高松の暑い夜でした。

 

(日刊サン  2017/7/12)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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