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低価格賃貸住宅6棟売却、民間投資家からの入札を公募

Pohulani Eldery @staradvertisor

 

 

州当局は住宅の質を改良し現在の入居者に低価格の賃貸料を維持する目的で、1221室の低価格賃貸住宅の購入希望者を募集している。

ハワイ住宅金融開発公社(HHFDC)は7月中頃、オアフ、マウイ、ハワイ島の計6件の賃貸事業のポートフォリオに民間投資家から入札を求めると発表した。

 

HHFDCは75年間の土地貸借権と住宅の定期貸借権を売却し、リース期間終了後はポートフォリオの所有権が州に返却される。6棟の不動産をまとめて購入する落札者1名を求めており、売却希望価格の提示は無い。

売却の仲介業者に指定されている商業不動産事務所のCBREは、ポートフォリオを「またとない優良物件」と話す。購入者には、新しい住宅を建築するのが困難な状況下の供給不足の住宅市場で、多数の賃貸住宅を管理し得られる利益と賃貸料収入によるキャッシュフローの増加が見込めるという。

 

しかし、経営権が民間に移る事で賃貸料が値上げされる懸念を示す声もある。HHFDCは売却条件として、5年間は年間賃貸料金の上昇を2%以内に制限する事と、入居者の年収が適切か明確にするよう付則を加えた。高齢者向けの物件については賃貸料金の値上げを、5年間に留めず賃貸契約有効期間は2%までと制限する。

「私達の目標は物件の賃貸料金を抑えながらも物件を改修し現入居者の転居を最小限にとどめる事です」と、HHFDCでエグゼクティブディレクターを務めるクレイグ・ヒライ氏は述べた。

 

6棟の物件の入居者の大半の年収と家賃は、ハワイで民間事業者により賃貸されている物件の入居者よりも低い。現在、入居者の多くの年収は、オアフ島の平均収入(単身者の場合は4万3890ドル、4人家族の場合は6万2760ドル)の60%以下だ。生活費用等を加味した収入比較では近隣の島々よりも低い数値となる。6棟の低価格賃貸住宅には1ルームタイプから3ベッドルームタイプが含まれており、入居者の平均月間賃貸料金は1室あたり942ドルから1268ドルの範囲で設定されている。

 

販売条件に掲げられた入居者の年収制限は、カアアコの『ポフラニ・エルダリー』とカポレイの『ケクイラニ・コート』は、平均収入の80%まで。残る4件のホノルル『カマケエ・ヴィスタ』、『カウハレ・カカアコ』、マウイの『ホノコワイ・カウハレ』、ハワイ島の『ライラニ・アパートメンツ』では入居者の60%に限り、年収制限が郡の平均収入の80%までとされ、残りの40%は平均収入までと設定されている。現在の入居者に限っては年収が販売条件に設定された制限より多くても退去を求められることは無い。

HHFDCは、年収が平均収入の80%までの入居者に対し全賃貸ユニットの60%以上を確保すれば、低価格住宅事業の開発に使用された債券に紐づけられたポリシーと合致すると話す。

 

HHFDCがこの6棟の低価格住宅の売却を望む理由の1つは、残存する債券発行による借入金7600万ドルの償却だろう。償却が完了すれば州の支出が年間630万ドル節約できる。さらに、ポートフォリオを売却すれば州に定められた調達条件によって起きるメンテナンスの遅延や、最低価格でなされる改修から解放される事となり、物件のコンディションが改良されるだろう。

HHFDCの試算では現状1300万ドルの基礎改修が必要であり、この改修も将来予想される改修も、物件が民間のオーナーに渡る事でよりメンテナンスが効率的に実行されると予想している。

HHFDCの視野にあるもう1つの利点は、同社が最重要課題として掲げる、新しい低価格住宅の経済支援の開発に集中できるようになることだ。

州の低価格住宅のほとんどはハワイ公営住宅局が保有しているが、HHFDCは自社が管理するプログラムを通して経済支援する6棟を保有している。

 

ポートフォリオが売却されれば、HHFDCは現在多くの入居者に提供している賃貸料補助金を続行させることが可能になる。提供される補助金の額は合計で年間140万ドル。この補助金は債券償却後の売却益から賄われると予想される。

HHFDCは1月までに購入者を決定し売却を完了させたいと話す。入札参加申請は9月13日の午後2時まで。詳細な情報はhhfdcportfolio.com.で確認できる。