Duane Kurisu氏(@Twitterより)
ハワイのビジネスマン、デュエイン・クリス氏と知事や議員等が集まりサンドアイランド付近で11日、起工式を行った。
クリス氏は公有地と私有地を使い、ホームレス150世帯、成人と子供合わせて600人が永久的に居住できる建物を含む「カハウイキ・ヴィレッジ」の建設を計画。クリス氏の非営利団体アイオ・ファウンデーションが立ち上げたこのプロジェクトはハワイでは初の試みとなる。 同氏はクリスマス前までに、2ベッドルームの18軒と1ベッドルームの12軒に30世帯の入居を目指している。「これが営利的な目的の開発であれば決して実現できなかったでしょう。誰もが開発不可能だと思っていました」と同氏は述べた。
クリス氏はアイオ・グループの発起人で委員長を務め、ホノルル・スターアドバタイザーの子会社であるオアフ・パブリケーションズ社の取締役。ヴィレッジはホームレスが野宿する場所として定着したニミッツ・ハイウェイとケエヒ・ラグーンの間にあるペイントボール・フィールドに建設され、地名に因んでカハウイキ・ヴィレッジと名付けられた。
建設費用額は明かされておらず、同氏は「費用は高額」とだけ述べ現在もコストは増加中だと話す。同氏は2011年に日本で起きた東日本大震災被災者支援のため「アロハ・フォー・ジャパン」の立ち上げに参加し、支援金と組み立て式仮設住宅として合計100万ドル以上の支援を行った。同氏はカハウイキ・ヴィレッジ建設のため、日本に送った150軒の住宅を再利用したいと考えているという。
このプロジェクトは、ホームレスが増加中のカリヒ・ストリートやイヴィレイ・ロードを含む市議会議員ジョーイ・モナハン氏の地区で実施される、最新のホームレス住居対策となる。州で最大規模のホームレス・シェルターがあるH-1の高架下もこのエリア。輸送用コンテナを利用して作られた住宅プロジェクトや、州で初の衛生センター、ナビゲーションセンター、短期住宅の複合施設となった4階建てビルも設置されている。
「私達はホームレス住居問題に取り組み、解決策を取り入れています。デュエインの活動は素晴らしいです。ホームレス問題の解決に共に取り組むには特別なタイプの指導者が必要なのです」と、モナハン氏はカハウイキ・ヴィレッジの起工式で述べた。
クリス氏はより多くの住宅を提供し、食糧供給の持続可能性を高める野菜農園や果樹園、養魚場を含むプランテーションのようなコミュニティを形成したいと考えている。
カハウイキ・ヴィレッジに入居を希望する子供を持つホームレス家庭は、サルベーションアーミーや、カソリック・チャリティ・ハワイ、ヴィレッジを運営するインスティチュート・ヒューマン・サービスを通してプログラムに申請する必要がある。
賃貸料は1カ月につき光熱水費を含めて2ベッドルームのユニットは900ドル、1ベッドルームのユニットは725ドルとされる予定。ユニットには、キッチン、バスルームが含まれヴィレッジにはコインランドリーが設置される。ドラッグ中毒者や精神的疾患へのサポートは用意されていない。
ビッキー・カエタノ前知事夫人はヴィレッジから徒歩圏内にある夫人の「ユナイテッド・ランドリー」で、成人入居者の雇用を約束すると述べた。さらに子どもを持つ両親が働けるよう職場にはデイケアセンターも設ける予定。 デービッド・イゲ知事は2015年に全米の高いホームレスの人口比率とハワイにおけるホームレスの犯罪問題に対して緊急事態宣言を発令。このプロジェクトはこの宣言に対応するプロジェクトの1つとして、多大な恩恵を受けている。
州が所有する11.3エーカーの区画は市に譲渡され、アイオ・ファウンデーションに年間賃借料1ドルで10年間リースされた。さらに追加で10年間の延長契約も可能。市は消火栓、下水道、水道管接続の工事費用360万ドル相当を無償提供した。天然ガス、太陽光発電システムと共に村専用の電力網の構築も考案されている。
イゲ知事は起工式の日を「素晴らしい日」と称し、カハウイキ・ヴィレッジが「コミュニティが直面した最も複雑で困難な課題に対して我々が協力すればなし得る事の1つの例である」と述べた。
ハワイ島のプランテーションで医師を務めた父を持つカーク・コールドウェル市長はプランテーションでの生活を「困難な時には助け合います。ハワイで最も困難な状況にある人を私達がどう助けるかと、描いてきた夢の実現です」と表現した。「クリス氏はプランテーション・コミュニティの協同精神を呼び起こしました」と市長は加えた。
(日刊サン 2017. 7. 21)