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Wine at home vol.17 一度飲んだら 忘れられない美味しさ! 甘口ワインの世界とは!?

ワインには、辛口ワインと甘口ワインがあります。普段、我々が食事と一緒に楽しんでいるようなワインは、前者の辛口ワインです。辛口ワインに比べ甘口ワインは出荷量も少なく、まだ飲んだことがないという方も少なくはないでしょう。今回、そんな甘口ワインの魅力を紹介していきましょう。

 

甘口ワインとは?

ワインはアルコール飲料ですので、醸造過程で必ずアルコール発酵が行われます。細かな工程は省きますが、通常ブドウのもろみ中に存在する糖分を酵母が分解し、アルコールと二酸化炭素が生成されます。

例えば、この時に糖分を全て酵母が分解しつくした場合、アルコール度数は上がりますが、糖分が残っていないため味わいは辛口となります。一方、糖分が残った状態でアルコール醗酵をストップさせた場合、アルコール度数は高くなりませんが、糖分は残るため甘口となります。

このことから、後者が甘口ワインとなるわけです。また、高品質な甘口ワインの場合、アルコール度数を高めながらも、より甘く高貴な味わいにするために、糖度が非常に高いよく熟したブドウを収穫して醸造されます。

 

甘口ワインの種類

甘口ワインには、いくつか種類があります。まず、もっとも高貴といわれているのが、「貴腐ワイン」と呼ばれるワインです。ボトリティス・シネレア菌という菌をわざとブドウの果実に感染させ、干しぶどうのような状態にして糖度を非常に上げた「貴腐ブドウ」を使用して造られる甘口ワインです。

通常、ブドウはこの菌に感染すると灰色カビ病となってしまい、ワインが造れる状況では無くなってしまいます。

しかし、一定の条件を満たした場合、とても甘く濃密な味わいのブドウとなり、そのブドウを使用して造られたワインは、ハチミツやアプリコットのような濃密は味わいに仕上がります。1度飲んだら忘れられない、非常に独特なワインです。

 

 

アイスワイン

ドイツやカナダで多く造られている甘口ワインのひとつに、「アイスワイン」があります。ブドウを秋に収穫せずに年を越させ、凍らせて糖度を上げた状態のブドウを使用して造られる甘口ワインです。

外気マイナス7℃を下回る日が続いていることを条件としており、さらに1日で一気に収穫するため、年によっては造ることができないリスクのある甘口ワインです。貴腐ワインよりは糖度は低めですが、その分飲みやすく、デザートにも合わせやすいワインとなります。

 

 

食後酒としてゆっくり飲む

甘口ワインは、糖度が高いため品質が長持ちします。そのため、開栓後も時間をかけて飲めるのも魅力です。食事の後の食後酒としてはもちろん、チーズケーキなどのスイーツと合わせたり、ブルーチーズなどの癖の強いチーズとも合わせやすいワインです。

普段、あまり甘口ワインを飲まれないという方は、ぜひ一度お試しください。味わいの満足感はもちろん、心から至福の時間を過ごすことができる、至高のお酒です。

 

 

ナカゴミコウイチ
東京都在住。ワイン好きの裾野を広げるため、WEBサイトを中心にワインコラムを執筆しています。