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Made in Hawaiiの実力  ハワイ産コーヒー編

Bynikkansan

5月 1, 2015

朝目覚めると、部屋中に広がるコーヒーのいい香り。一日の始まりに、慌ただしい仕事の合間に、気のおけない友達との楽しいおしゃべりにも、私たちの生活のちょっとしたひと時を彩り、寄り添ってくれるのがコーヒーという飲み物なのかもしれない。

ハワイ州は、カリフォルニア産コーヒーが登場する数年前まではアメリカで唯一のコーヒーの産地であり、その品質は今や世界中から評価されている。

 

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そんなハワイ産のコーヒーのことをもっと知るために、ここからはハワイコーヒー協会(HCA)のクリスさんにナビゲートをお願いしよう。

 

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Chris Kossowskiさん

ハワイコーヒー協会

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Business Development Director

 

 

 

ハワイ産コーヒーの歴史

 

ハワイでコーヒーの栽培が始まったのは、およそ200年前。ハワイ王国オアフ島の統治者ボギが、英国からの帰途にブラジルへ寄港し、ブラジル産アラビカ種のコーヒーの木をハワイに持ち帰ったのが始まりとされています。オアフ島マノア渓谷で実験的に始められたこのコーヒー栽培は上手くいきませんでしたが、宣教師のサミュエル・ラゲルズが観賞用にとハワイ島に持ち帰ってみたら、これが瞬く間に成長。しかし、この時代にはまだ本格的なコーヒー栽培にはいたりませんでした。ハワイ島コナの地でコーヒーの栽培が始まったのは、1840年代。しかし、1850年代には害虫と疫病、そして労働力不足のため、いったんハワイのコーヒー産業は衰退し、代わりにさとうきびの栽培が盛んになります。その後、1890年の世界的なコーヒー価格の急騰により、ハワイでも大規模なコーヒー栽培が始まりました。しかし、10年も経たないうちに供給過剰による価格の暴落が始まり、ハワイは、またサトウキビの栽培に戻ります。しかし、ハワイ島のコナ地区だけはサトウキビ栽培には適さない土壌だったことが幸いして、コーヒーの栽培が続けられました。この時代に大規模農園主が小作人に土地を貸し付けるという方法により、小さなコーヒー農園がたくさん登場し、それが現在に引き継がれているということです。その後も第一次世界大戦の軍による買い上げや、大恐慌によりコーヒーの価格は乱高下。コーヒー産業も衰退とブームを繰り返します。1970年代にコーヒー豆の輸出が盛んになると同時に、ハワイに初のコーヒー焙煎機が持ち込まれ、ハワイ産コーヒーは、ディスティネーションコーヒーとして世界的な名声を獲得していくことになります。

 

ピーベリーってなに?
ハワイ産コーヒー豆の種類と特徴

 

ハワイコナ、そして最近人気のカウコーヒー。小規模な農園で熟した豆を厳選して手摘みされるハワイ島産のコーヒー豆はおいしくてやっぱり人気。ハワイ島産のコーヒーは、ヒロ、コナ、カウ、ハマクアなど生産される地域の名前がブランド名として呼ばれることが多く、マウイ島、カウアイ島などでは島の名前がコーヒーの名称となっています。オアフ島のワイアルアコーヒー、モロカイ島のミュールスキナーなども地域の名前で呼ばれていますね。よく耳にするピーベリーというのは、種別ではなく、1つのコーヒーの木から約5%ほど収穫される最高級の豆のこと。通常コーヒーチェリーの中には2つのコーヒービーンズができるのですが、ピーベリーというのは、一つのコーヒーチェリーの中に豆が一つだけのものをいうんです。ピーベリーは良くも悪くもそのコーヒーの木の特徴を強調するので、美味しい豆なら美味しさがより際立ち、逆に美味しくない豆の場合は・・・ご想像の通りです(笑)。

 

 

ハワイ産のコーヒーを
よりおいしくいただくには?

 

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コーヒーの焙煎にはライトからイタリアンまでの焙煎度があり、フルシティーミディアムまでが、豆本来の味を楽しめます。ハワイ産のコーヒーは、酸味がありミディアムボディーのさわやかな味なので、焙煎にはミディアムからフルシティーミディアムまでが最適です。

 

 

コーヒーにもある新コーヒー
「フレッシュクラップ」

 

ワインならボジョレーヌーボー、お米なら新米、じゃがいもなら新じゃが。若いコーヒーを味わうフレッシュクラップは、今年の豆の出来の品評会。コーヒー豆は収穫後、6カ月寝かせるのが最適とされますが、フレッシュクラップでは3カ月の若いコーヒーを味わいます。味にうるさいグリーンバイヤーたちの評価では、どうやら2015年はマウイモカが最高の出来のよう。是非試してみてください。

 

銘柄別の香りの研究でコナコーヒーは
集中力を高める効果が抜群と判明!

 

カップから立ち上ってくるコーヒーの香りにうっとり。人を幸せにしてくれるあの香りには、人の脳に影響を与え、「癒し」と「集中力」を高める効果があることが、杏林大学医学部の古賀良彦教授の研究で明らかになった。社団法人全日本コーヒー協会の報告によると、古賀教授は、香りには心を揺さぶる力があるという点に着目。被験者の頭に電極を貼ってリラックス効果を表す「α波」と集中力を表す「P300」という脳波の動きを、世界のコーヒーの銘柄別に調べたところ、ハワイコナの香りには「P300」という情報処理速度を示す脳波がブルーマウンテンやグアテマラといった銘柄よりも早く現れたという。大事なプレゼンテーションの前には、コナコーヒーを一杯飲んで、集中力をより高めたいところだ。

 

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資料提供:全日本コーヒー協会

 

コーヒーの中に隠された健康効果!

 

カップ一杯のコーヒーと新聞を用意して、お気に入りの場所で一日を始める。それだけでも十分幸せだが、コーヒーにはもっともっと凄い効果が隠されていたことが、最近の研究で、続々と明らかにされている。

 

全日本コーヒー協会の報告によるコーヒーの健康効果は以下の通り

 

◎糖尿病の予防効果

◎心筋梗塞、脳血栓症などの原因となる血栓を溶かす力

◎脳出血を予防・脳卒中リスクを軽減

◎パーキンソン病の発症を抑える効果

◎がん細胞を抑制する効果

◎善玉コレステロールの機能を高め動脈硬化を予防

◎認知症予防効果

 

ハワイ州政府厚生省によると、ハワイの日系人の糖尿病有病率は、なんと白人の2倍以上。コーヒーが糖尿病の予防に効果があるというのは日系人にとっては嬉しいニュースだ。アメリカをはじめスウェーデン、日本などの各国からコーヒーが糖尿病の予防に効果ありとの研究報告が届いている。どうやらコーヒーの成分「クロロゲン酸」が血糖値抑制に関わっている可能性があるのだとか。また、ハワイの日系男性8000人を対象に行われたコホート研究から、このクロロゲン酸と、カフェインがパーキンソン病を引き起こす細胞死を抑制する働きがあることが分かった。さらに、日本人の死亡原因1位のがんに対して、クロロゲン酸は、がん細胞を増殖させる活性酸素を食べてしまう働きをすることが実験により明らかになっている。そして、生活習慣病の中でも血管の障害による心臓や脳の疾患は、健康に生活していた人をある日突然襲う恐ろしい病気。どの成分がどのように作用するかは未だ解明されていないが、コーヒーが血栓を作りにくくする効果を持つことは実験により実証されている。また、脳ドッグでの統計によると、コーヒーを常に飲んでいる人は、飲まない人より微小脳出血や血管性認知症の原因とされる大脳白質病変などが少ないという結果が報告されている。

 

コーヒーで美肌をキープ!

 

どこまでも青くきらめく日差しは楽園ハワイの魅力の一つ。でも、長い目でみると強烈な太陽の光は、肌にダメージを与え、シミを生成したり、老化を促進してしまう。ところが、コーヒーにこのシミを予防する力があるというのだ。

 

美肌の大敵!シミ予防に効果!

 

これは神戸大学の市橋正光名誉教授の研究によって明らかにされたもので、表皮の奥にある角化細胞という細胞がメラノサイトにメラニンをつくる指令を出すことを抑える効果とメラニンを多く含む「メラノソーム」という細胞を角化細胞が食べてシミの原因を増やすことを抑制する効果が、コーヒーの成分クロロゲン酸にあることが分かったという。

 

コーヒーでダイエット?

 

おいしいものをついつい食べ過ぎ、移動は車、仕事が忙しくてジムに行く時間もない。いつの間にかお腹まわりが気になっているという人も多いはず。でもそんな生活を続けると恐ろしい脂肪肝になってしまうかも。公益財団法人三越厚生事業団の船津和夫医学博士は、働き盛りの30代から40代に脂肪肝が多く発生すると警告する。脂肪肝が恐ろしいのは、心筋梗塞や脳梗塞など心臓や血管系の疾患に繋がりやすいということだ。長年の研究により、そんな脂肪肝の発生をコーヒーが抑制していると考えられると結論づけられた。また、カフェインやクロロゲン酸に脂肪分解効果があるという報告もされている。

 

飲みすぎには注意!

美容と健康に効果があるコーヒー。だからといって飲み過ぎには注意が必要だ。カフェインの過剰摂取は依存症を引き起こすおそれがある。また亜鉛の吸収を妨げ貧血症におちいるケースも。コーヒーは一日三杯程度までにとどめておこう。過ぎたるは及ばざるがごとし。摂取量が限られているなら、一杯一杯をよりおいしくいただきたいもの。今ハワイには「本当においしいコーヒーを!」という新しい流れが来ている。

 

コーヒーの新しい波 
サードウェーブコーヒー

 

家庭でコーヒーが気軽に飲めるようなった19世紀後半のファーストウェーブ、そして「スターバックス」やシアトル系に代表される深煎りムーブメントのセカンドウェーブ。そして現在の波、コーヒー豆の産地、淹れ方にとことんこだわった新しいコーヒーカルチェーがサードウェーブコーヒーだ。これまでのコーヒーの常識であった豆のブレンドをせず、「シングルオリジン」にこだわっている点も特徴。

 

 

ふわり漂う珈琲のいい香りと心地よい音楽。コーヒー一杯分の贅沢な時間を買いにハワイのサードウェーブカフェやこだわりのカフェを訪ねるのも良いかもしれない。

 

Morning Grass Coffee+Café

 

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ハワイ産のコーヒーを生豆で仕入れて、自家焙煎するというこだわりのカフェ。品質を保つために、一日の必要な分量を300gずつ焙煎し、その日のうちに使い切る。アイスドリンクも、コーヒーの味を薄めないよう冷えたシェイカーでコーヒーの温度を一気に下げてからグラスに注ぎ、香り豊かな風味を活かすというこだわりよう。

 

Aloha Coffee Lab

 

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ハワイ島のコナとカウのシングルオリジンにこだわり、専属のバリスタが淹れる「飲んで本当に美味しいコーヒー」を提供するカフェ。特別な焙煎機によって深い香りと味を引き出された厳選された豆は、なにげない日常を特別な時間に変えてくれる。

 

Honolulu Coffee Company

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ハワイ島の自家農園から直送された100%ピュア・コナコーヒーを毎日丹念にロースト。ゴールデングローブ賞のオフィシャルコーヒーにも選出されたクオリティーの高い豆が紡ぎ出す挽きたて淹れたての極上のコーヒーが楽しめる。モアナ・サーフライダーやアラモアナなどアクセス抜群のロケーションも嬉しい。

 

Gollira in the Cafe

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数々の品評会で高得点を獲得している最高級品質のハワイ産の豆を厳選して提供している「煎りたて、挽きたて、淹れたて」にこだわるカフェ。コナ・マルゴヒーベなど希少な豆をハンドドリップで時間をかけて丁寧にいれるなどハワイ産コーヒーへの愛情があふれている。

 

 

日本はハワイ産コーヒーの一番のお客様

 

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山根英樹さん

Economic Development Specialist

ハワイ州政府 農務省

State of Hawaii Department of Agriculture

 

 

現在では、ハワイ産コーヒーは、約3千万ドルと、生産額でトップ5に入る重要な農産物の一つです。日本はハワイ産コーヒーの輸入国としては圧倒的な第一位で、ハワイの対日輸出品の中でもコーヒーは第3位となっています。最近では、オーガニックコーヒーを生産する農園も増えてきて、様々なコーヒー品評会で入賞するなど、世界で高い評価を受け始めました。オーガニックの認定を受けるには、高いコストがかかるので小規模農園には負担。州政府では認定費用に補助金を出すなど、ハワイ産農産物のブランド力を高めるサポートをしています。また最近ベリーボーラーと呼ばれるコーヒーの害虫がコーヒー農園を苦しめていますが、害虫駆除の研究など品質を維持するための対策にも力を注いでいます。

 

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資料提供:全日本コーヒー協会