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老後の日本帰国シリーズの8回目は永住権・市民権の放棄手続の2回目です。

(1回目はこちら

 

5.放棄日・離脱日  

永住権の放棄日は、永住権放棄のためのFormI-407を正式に米国国土安全保障省に提出し受理された日です。 市民権の離脱日は、次のいずれかの一番早く発生した日となります。

①在外公館の大使館員に国籍離脱の申請日

②国務省に移民法上の要件を満たして文書による国籍離脱の自発的要請を行った日

③国務省が国籍喪失証明書を発行した日

 

6.出国税の該当者  

出国税の該当者とは、下記の条件に該当する場合です。

①放棄前・離脱前の5年間の連邦個人所得税の平均所得税額が法定額$162K(2017年)を超える場合

②放棄日・離脱日の前日時点の全世界純資産が$2,000,000以上の場合

③放棄前・離脱前の5年間の連邦個人所得税の申告納税義務を果たしたことについて宣誓証明することができない場合  

なお、生まれながらに米国と日本の二重国籍者、および、18.5歳に達する前に国籍を離脱する者で、10年を超えて米国居住者でなかった場合、例外的に当規定の適用外となります。

 

7.出国税とは

①みなし譲渡益の時価評価税

②課税繰延資産の源泉課税

③相続贈与の受益者課税の3種類を指します。

 

①みなし譲渡益の時価評価税:出国日の前日に特定資産を除く、すべての全世界資産を売却したならば得られるみなし譲渡益が、基礎控除額$699,000(2017年)を超過した金額に適用税率掛けて計算された金額を翌年の4月15日までに納税。

②課税繰延資産の源泉課税:課税繰延資産のうち、ペンション・プランや401(K)プラン、その他の退職基金制度などの適格繰延報酬は、分配金が支払われる度に分配金の30%相当額が源泉徴収されます。ただしソーシャルセキュリティは出国税の対象外です。

③相続贈与の受益者課税:米国市民又は居住外国人が、該当出国者から贈与又は相続(遺贈)を受け取った場合、受遺者・受贈者が、米国遺産税・贈与税の最高税率40%(2017年)で計算した税金を納税する義務があります。その際、基礎控除額(年間非課税贈与額2017年$14,000)の控除が認められます。

 

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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