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今年も、ニューヨーク5番街にある、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーに灯りが点りました。毎年恒例、クリスマスの幕開けを告げる冬の風物詩でもありますが、あまりにも1年がはや過ぎると感じるのは私だけでしょうか。  

この巨大クリスマスツリー。今年はニューヨーク州郊外の民家の庭から寄贈されたそうで、高さおよそ28メートル重さ250キロ。なんと樹齢は100年近く! 民家の庭に28メートルもの巨大な木が育っているなんて、やはり広大な敷地アメリカだな~って思います。  

寄贈者のお話によると、このツリーの下ではご家族の子どもたちが野球をしたり遊んだり、家族とともに育った思い出の詰まったツリーなのだとか。そのツリーが、今度はマンハッタンのど真ん中で巨大クリスマスツリーとなり5万個ものライトを輝かせて、世界中から訪れる人たちを魅了し、ハッピーな気分にしてくれるんですね。  

 

実は、ロックフェラーセンターのクリスマスツリー、目で見て楽しませてくれるだけではないんです! 幸せを『体験』できる場所でもあるのです。  

実際に現場を訪れてみると、ニューヨーカーや観光客が大勢詰め掛け、じっと止まっていられないほど混雑しています。しかしそんな中、ツリーのふもとで密かに行なわれていることがある。それは…プロポーズ!!!

初めてこのクリスマスツリーを見に出掛けたときのこと。寒さに凍えながらも、ごった返す人混みの中で少しずつ前進していたら、雪が降り始めました。みるみるうちに積もりだし、辺り一面真っ白に。頭上から降ってくる雪とイルミネーションがキラキラ反射して、ますます幻想的な雰囲気に包まれました。すると、すぐ目の前に立っていたカップルの男性がひざまずきました。一瞬の出来事に気分でも悪くなったのかと思っていたら、いきなり映画のように指輪の入った箱を「パッカーン」と開け、

“Will you marry me?”

彼女が“Yes!”と応えると、このプロポーズを目撃した人々からは自然と拍手が沸き起こり、カップルのまわりは二人を祝福する笑顔の観衆でいっぱいになりました。寒さで身体は冷えきっていましたが、私の心はあったかポカポカ。じんわ~りと心に沁みる幸せのお裾分けをいただきました。  

 

それから何度訪れても、ツリーのふもとでプロポーズしているカップルに遭遇するようになりました。そして、子どもから大人まで幸せ一杯な笑顔に出会えるのもこの場所。幸せの連鎖の起きるこのツリーをわたしは、「幸せの成る木」と勝手に命名。(笑)  

今年は、このツリーの下でどんな物語が展開されていくのだろう…。想像するだけで、ワクワクします。

 

(日刊サン 2017/12/5)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

www.chizuomori.com