30分ほど、時間をかけて抽出しよう。
ママキの葉には葉脈が緑のと、赤みのあるのとがある。
ハワイの新しいお土産として赤マル急上昇中のママキ(MAMAKI)茶。ママキはハワイ語。ママの木、母なる木を連想する語感がいい感じ。イラクサ科の植物で、2~5mほどに成長するんだそう。 古代ハワイの昔からの固有植物で、ハワイ諸島に自生している。ハワイアンの長老クプナは、身体と精神の浄化のために、ママキのヒーリングティを処方していたという。
ハワイ島の牧場には、 野生のママキが群生。
ママキ茶はハワイ大学でも研究されており、ノンカフェイン、ノンカロリー、グルテンフリー。抗酸化作用のあるルテインやマグネシウム、ポタシウムが豊富で、抗菌作用やアンチエージング効果も期待できる。効能は疲労回復、血液浄化、コレステロールの調整、解毒、整腸などなど、万能薬的な頼もしさだ。
味はおいしいと絶賛するほどでもないが、まろやかで飲みやすい。パイナップルを入れるとプランテーションティに、レモングラスを入れるとハーブティになる。30分ほど茶葉を蒸らすと成分が十分抽出できる。 ロングスやハワイの特産品を売る店などで、乾燥したママキ茶は売られているが、値段の方が10gちょっとで10ドルほどと、妙に高い。ハワイ島の、マウナロアの高地のママキの成分が特に優れているとかなんとか、講釈を聞いても私は、値段設定が腑に落なかった。
するとハワイ島に牧場を持つ友人が、「うちにはママキがたくさん自生しているよ。鳥がフンを落としてあちこちに群生しているから、葉っぱを摘みに来れば」と誘ってくれた。すわ、ビッグアイランドへゴー!
そうか、ママキ茶は ネトル茶と兄弟か。
標高600mほどに位置する牧場は、朝晩ひんやりと空気が冷たい。この標高ではココヤシは育ちにくいのだという。
ママキは見るからに野性味たっぷりに丈夫そうで、人間が手をかけなくても、勝手に枝を伸ばしてワサワサと葉を茂らせていた。
葉は2種類ある。裏の葉脈が緑色のと、赤みがかっているのと。生で煮出しても淹れられるが、葉を洗って丸一日天日干しすると、たちまちカラカラに乾燥する。
自分で摘んで自分で乾燥させたママキを見ているうちにハタと気づいた。
これ、西洋イラクサのネトル茶とおんなじ!? あの、一昔前に流行った、花粉症に効くといわれたネトル茶の兄弟分!? 日本でだって雑木林に行けばイラクサは嫌っていうほど自生している。日本のイラクサに薬効があるとは聞いたことがないけど、やっぱりママキよ、丈夫な雑木なんだから、もう少し安く売られてもいいんじゃないかい?
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |