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老後の日本帰国シリーズの4回目は“永住権か市民権か”です。最初に米国市民権のメリット・デメリットを検討したいと思います。

 

メリットとして一般に言われるのは以下の9項目です。

(1)夫婦間の遺産相続に税金(連邦+州)がかからない。

(2)夫婦間の贈与の際、制限がない(もらう人がグリーンカード保持者の場合$148K(2016年の場合)以上の贈与をすると連邦税がかかる)尚、米国籍、グリーンカードに関係なく、相続・贈与の際一人最大$5.45M(Federalのみ、2016年インフレ調整後)の控除枠がある。

(3)伴侶・親・子供のグリーンカードのスポンサーになれる。(呼び寄せが短期間に出来る)

(4)政府関係の仕事にも就労できる。

(5)選挙権が取得できる。

(6)出入国の保障。国外出国の場合、期間の制限なく米国に住む権利が保障されている。グリーンカードは長期出国の場合Reentry Permitの取得等必要。

(7)更新の必要が無い。グリーンカードは10年ごとの更新(更新料$450)する必要がある。

(8)米国のパスポートが取得できる。

(9)市民権保持者に限定されている市民生活上のベネフィットが受けられる。  

 

一方デメリットは

(1)日本国籍を放棄する義務がある。

(2)グリーンカードがなくなるので、日本のパスポートは使えない。

(3)Jury(陪審員)として法廷で数日、あるいはそれ以上、訴訟の審理に参加しなければいけない(数年に一度)。

(4)米国市民権を捨てるまで、全世界の所得に対して米国の税金がかかる。また、全世界の資産に相続税、贈与税がかかる。(税金に関してはグリーンカードでも基本的には同じですが)税金に関しては時々、制度変更がありますし、税率等が州や年度で異なりますので、詳しくは会計事務所等に必ずお問い合わせ下さい。  

なお、日米の年金の受給については基本的に国籍は関係ありませんので、永住権者も米国籍者も同じベネフィットを享受できます。次回は永住権か市民権かの選択にあたっての検討すべき項目と実情をお話ししたいと思います。

 

 

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

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