マカダミアナッツの大樹の木陰で、ナッツクラッカーで割って食べ。リスの気分。
AHUALOAマカダミアナッツ農場のノットロースト、ノーソルトのマカダミアナッツ。
前回にひき続き、ハワイ島の友人の牧場での滞在記を。
マカダミアナッツの大木を初めて見た。高さは3階建ての建物をすっぽり覆うほど。濃い緑色の葉っぱがうっそうと茂り、枝には鈴なりのマカダミアナッツが。木の周りの地面には、一面マカダミアナッツとその殻がびっしりと敷き詰められたように落ちていた。なんと豊饒なナッツ。こげ茶色の殻は世界一固いと言われ、スニーカーで踏みつけたくらいでは割れない。
マカダミアナッツで特筆したい、 パルミトオレイン酸について。
そうか、ナッツの女王といわれるほど色白で上品な味わいのマカダミアナッツは、こんな強固で頼もしい殻に守られていたのか。原産国のオーストラリアは山火事が多いけど、マカダミアの殻はちゃんと焼け残って、ナッツの女王様を守るんだという。 牧場主の友人が専用のクラッカーを貸してくれたので、大木の下でマカダミアナッツ拾いをしながら、割っては食べ割っては食べ、採れたて新鮮この上ない生のマカダミアナッツを味わった。
マカダミアナッツには、いま注目のパルミトオレイン酸というオメガ7系の脂肪酸が含まれ、その含有率はあらゆる食品の中で最も豊富だ。
パルミトオレイン酸の良さの第一は、脳の血管を丈夫にすること。人間の体の血管は、毛細血管から栄養を摂取しているが、脳の血管には毛細血管がないため、栄養を血液中からしか補給できない。さらに脳は、ごく限られた栄養しか届かないよう安全装置が働くようになっている。その関門を通過できる栄養素がパルミトオレイン酸なのだ。ちなみにココナッツオイルに含まれるラウリン酸も脳に選ばれし栄養素だ。
またこのパルミトオレイン酸は、人間の皮膚に含まれる脂肪酸なのだが、年齢とともに減少してしまい、肌老化をおこす。そのため高級クリームなどにも配合されているほどの美肌成分なので、食べることで内側からスキンケアしたい。
抗酸化作用のあるファイトケミカルも豊富なのでアンチエージングに効果的で、血糖値、高血圧、コレステロールなどを正常に保つ働きも報告されている。ただし1粒で15kcal前後あるので、一日の目安は5粒ほどで充分。
ナッツはROWの生派? ローストしてある派?
私はマカダミアナッツならば、ローストしていない生が好きだ。アーモンドだとローストしてある方が香ばしくておいしいけれど、生の新鮮なマカダミアは、さくっとした歯ごたえで甘やか。酵素を始め、まるごとナッツの栄養を得ることもできる。
ハワイ島の牧場でワイルドなマカダミア体験をするまでは、ファーマーズマーケットで売っているアウアロア農場直売の、生タイプを買っていた。
ただ、ナッツや種子は生のまま食べると、自らが持っている酵素抑制物質が働いて、消化を妨げたり、体内酵素まで消費してしまうことを指摘するむきもある。生のナッツは長時間、水に浸してから食べている、という人もいる。でもまあ一日5粒なら、問題ないと思うんだけどな。
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |