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HAWAII! OISHII! ハワイイ! オイシイイ! Vol.50

Bynikkansan

4月 22, 2017

カラマンシーライムという名で売られているけど、皮の味も身の酸っぱさもキンカンそっくり。ピギー・スモールズのフォーは、麺も自家製。

 

冬のハワイはさまざまな柑橘類が豊富でうれしい。庭付きの友人の家に行くと、オレンジやポンカンや温州みかん、子どもの頭ほどあるブンタン、大きなメイヤーレモンやライムなどなどがたわわに実っていることがあって、なんだかとっても豊かな気持ちになる。私の名前が夏実で、小さなころよくナツミカンとあだ名されていたから、柑橘類には他人とは思えないシンパシーを感じるのだ。

 

デコポンをSUMOとは!?

名付け親の妄想にガッテン。 アメリカで初めて、デコポンみたいな柑橘類を見たとき、値札に“SUMO”と書いてあって、はてな? と思った。と、デコポンが入っているダンボール箱に、お相撲さんのイラストが描かれていた。数秒後…なるほどー! デコポンの頭の突起が、お相撲さんのちょんまげを妄想して、SUMOという名前にしたのね。ガッテン。そもそも“デコポン”も、ポンカンの交配種で、おデコが凸っているみたいだからデコポンと名付けられたんだから、ネーミングの軍配はキャッチーなら勝ち、なんだろうな。

COOPのコクアマーケットには、 組合員が作ったミカンたちが。

私がよく行くオーガニックスーパーのコクアマーケットは、生協みたいな組合制なので、組合員が作った野菜やハーブ、果物などが売られるときがある。大手の流通では扱わないような、ローカルでコアなものが並んで楽しい。 カラマンシーもその一つで、直径2〜3cmの小さなミカンみたいな柑橘類のことだ。東南アジアでよく見かけ、四季を通じて結実するから、沖縄では四季柑(シキカン)とも呼ばれている。 これ、皮は甘くて、果汁は酸っぱいから、キンカンにそっくり。丸ごと食べるとおいしい。柑橘類の皮は、ヘルシーな栄養の宝庫でもある。

果肉より豊富なビタミンCをはじめ、コレステロールや糖分を体外に排出しやすくするペクチン、血液をサラサラにするヘスぺリジンがたっぷり。皮の裏の白い部分は食物繊維が多く、抗酸化作用のあるビタミンPというポリフェノールも多く含まれている。

 

ハレアイナ・アワードW受賞、 ザピッグ&ザレディ姉妹店で。

2年連続でグルメなハレアイナアワードを受賞した、人気レストランの姉妹店“ピギー・スモールズ”が去年、ワードセンターにできた。そこでシグネチャーのフォーに、カラマンシーが浮かんでいた。さすがだなあ、エスニックな香り、ブローチのように可愛らしいオレンジの輪切りのアクセント! お姉さんのザピッグ&ザレディのフォーは、3種類の肉がトッピングされていて、フォーというより肉料理を食べている感覚だけど、妹分の店は麺とスープと具のバランスがシンプルにまとまっている。カラマンシーの香りを楽しみつつ麺を食べ、時おりカラマンシーをかじると、口の中に爽やかな酸味が広がり、後口がとても良い。

このカラマンシーの輪切り、魚や鶏の南蛮漬けに入れて一緒に食べてもおいしい。ハワイでも年4回、収穫できるんだろうか?

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。