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インフルエンザにかからない方法

ハワイでのインフルエンザのシーズンは、日本から少しだけ遅れをとって通常11月から始まり、ピークは3〜4月まで続くといわれています。今、日本でもインフルエンザはピークを迎え、今シーズンは初めて患者数が200万人以上を超えていて、ハワイでもまだまだ気を抜けません。聖ルカクリニックのナース、中村誠一さんに、ハワイのインフルエンザ事情を教えていただいたので、改めてインフルエンザから自分の身を守る方法を学んでみましょう。

 

インフルエンザの基礎知識

インフルエンザとは?

普通の風邪とインフルエンザの大きな違いは、まず高熱が出るところ。そして全身の痛み、関節の痛み、頭痛などを伴うところです。普通の風邪は、喉の痛みや咳、鼻に症状が先に現れますが、インフルエンザの場合は先に38℃以上の高熱が出ます。そして数日経ってから咳や鼻水といった症状が出てきます。

 

 

ハワイではどうして インフルエンザが流行るの?

ハワイは世界の中でも有数の観光地。常夏で暮らしやすく恵まれた環境ではあっても、ハワイにやってくる世界の観光客がウイルスも持ってきます。ただ、日本で発生するインフルエンザも実は中国や香港から影響されています。人間と、豚、鳥が一緒に暮らしている時に感染しやすいインフルエンザ。その感染しやすい縮図関係が中国で一番起こりやすいから、インフルエンザのほとんどが中国原産だと言われています。

インフルエンザは気温が低く、乾燥していると拡がりが活発になります。ハワイは暖かいので、寒い場所と比較するとマシですが、それでもインフルエンザは感染力が強いので毎年感染する人が出るので、気をつける必要があります。

 

今年の傾向は?

インフルエンザは、A、B、C型、そして年によっては鳥インフルエンザなど変異したタイプも流行しますが、今年のインフルエンザは主にA型が流行っています。このタイプは、もっとも流行性が高く、高熱、悪寒、頭痛、めまい、関節痛、腰痛、上気道炎などの症状が代表的な症状です。

また高齢者が重症化しやすいので(肺炎や脳炎など)警戒が必要です。

 

インフルエンザになったら? その判断基準とは?

高熱が出てインフルエンザにかかったかな?と思ったら、すぐに病院に行きましょう。最近は精度の良い簡易テストがあり、10分程度待つと、その場で陽性か陰性か、またどのタイプのインフルエンザなのか判定できます。ただインフルエンザにかかってごく初期だと判定が難しいこともあります。また、治りかけでウイルスが減っている時も正確な判定が出ないことが稀にあります。

とはいえ、テストを受ければ、鼻水をとるだけですぐに判定が出ますので、家庭内感染や集団感染を防ぐためにも早めに医療機関を訪れて、診断を受けることが大切です。

 

ワクチン接種について

インフルエンザのワクチン接種は どこで受けても同じ?

 

インフルエンザのワクチンには大きく分けて2種類。インフルエンザの3種類がカバーされているものと、4種類がカバーされている医療従事者向けのワクチンがあります。かかりつけのクリニックなどに行けば、この4種類カバーされている医療従事者向けのワクチンをしてくれますが、ハワイのドラッグストアやスーパーマーケットなどでよく宣伝されているワクチンは、3種類カバーしている(比較的に安い)方が多いのです。カバー範囲が4種類の広いワクチンの方がオススメですが、その理由は免疫がつきやすいからです。

また人によって、どうしても注射が嫌だという人は、鼻から生ワクチンを吸う、経鼻インフルエンザワクチンもあります。しかし、鼻からスプレーで吸う場合は、ある程度、生ワクチンなので、副作用が起こりやすいというリスクがあります。

また、注射の場合、針を刺す場所が指定されています。ドラッグストアやスーパーなどのファーマシーにいるスタッフだとあまりトレーニングを受けていない可能性もありますので、信頼するドクターの元でワクチンを受けた方が安心かもしれません。

 

ワクチンを受けるとどうなる?

ワクチンを受けると、具合が悪くなるといった噂を聞いて、ワクチンを受けることを避けている人もいるのではないでしょうか? ワクチンはウイルス粒子を分解したプロテインを体に入れて、免疫反応を起こし、抗体反応を作ることが目的で、約1年間の持続性があります。ワクチンに、生のウイルスは入っていませんので、ワクチンが原因で具合が悪くなったり、インフルエンザになることはありません。

とはいえ、どんな薬やワクチンでも副作用が全くないとはいえません。中にはちょっとだるく感じたり、注射を打ったところが痛くなったり、咳、熱、頭痛、痛みなどを感じる人が稀にいることもあります。でも大抵このような症状が起きたとしても、1〜2日でなくなります。インフルエンザワクチンを打った後、いきなり高熱が出たり、おかしな行動をしたり、息が苦しくなったりした場合は、ギランバレー症候群の可能性がありますので、すぐに救急病院へいきましょう。

 

ワクチンはいつ受けるべき?

ハワイには大抵、毎年8月にはインフルエンザの予防注射のワクチンが入ってきます。毎年、ウイルスの種類は変わるので、1年ごとにワクチンを打つことが大切です。ワクチンを打った後、免疫ができるまでに2週間かかりますので、ピークが来る前に早めに打つことがオススメです。9月頃から12月の間に打っておくのが理想ですが、今から打っても遅いわけではありません。

 

インフルエンザのワクチンは、 どんな人が打つべき?

基本的にワクチンのアレルギーがあったり、免疫抑制剤を飲んでいる人や脾臓をとってしまった人でなければ、全員、予防接種を受けるべきです。特に、生後6ヶ月以上の子供、年齢が65歳以上の方や妊婦、または妊娠を考えている人は、受けるべきでしょう。ワクチンを打っておくと、インフルエンザが原因で肺炎になったり、脱水症状を起こして死に至ることを防ぐことができます。また、お子さんのいる家族は、集団感染を防ぐためにぜひ打っておきましょう。

 

予防接種以外でインフルエンザに ならないための予防法とは?

★手洗い…指の間や手首のあたりまで、しっかり手を洗いましょう!

★うがい…粘膜からウイルスが入ってくるので、しっかりうがいも忘れずに!

★栄養のあるバランスの良い食事をしましょう。ビタミン豊富なフルーツ、野菜、そして代謝がアップする生姜、ネギなどを積極的に食べることもオススメです。

★運動…運動すると疲れますが、体の代謝を上げたり、デトックスになるので免疫力が高まります。

★お笑いを見たりして笑う!…笑う門には福来たるといいますが、笑うとNK細胞の活発度がアップし、免疫力がアップするというデータもあります。笑うことを忘れずに!

★良質な睡眠をとり、よく休む…体が無理すると免疫力もダウンしますのでよく休むことが大切です。

★日本ではマスクをつける人が多いのですが、実は、飛沫感染などから予防するには、特殊部隊がつけているようなマスクでないと予防は難しいと言われています。すでに風邪やインフルエンザの人が拡散予防のためにつけるのは良いのですが、自分がかからないためには、よほどすごいマスクでないとあまり効果がないようです。

 

 

インフルエンザにかかったら?

★インフルエンザの薬、オセルタミビル(通称タミフル)は発症して48時間以内に使う必要があります。風邪かインフルエンザかわからない場合、この時期は医療機関をすぐに訪れましょう。

★安静にして、電解質の入っているドリンクなど水分補給を忘れずに。

★食欲がなくてもできるだけ良質のタンパク質を摂り、栄養補給をしましょう。

★集団感染しないよう、最低5日間は学校、職場には行かないようにしましょう(ドクターズオーダーです)。

 

世界的なインフルエンザ大流行(パンデミック)の感染例

★1918〜1919年 スペインインフルエンザ → 全世界で6億人がかかり、2300万人が死亡。日本では人口の半数(2380万人)がかかり、約39万人が死亡

★1957年 アジアインフルエンザ →  日本では約100万人がかかり、約7700人が死亡。夏の時期には多くの学校で学級閉鎖になった。

★1968年 香港インフルエンザ → 日本では約14万人がかかり、約2000人が死亡。翌年は第二波が来て約3700人が死亡)

★2008年 Aソ連型  A香港型及びB型

★2009年 新型インフルエンザ → 世界で広まり、ウイルスの遺伝子が豚インフルエンザ由来のため『豚インフルエンザ』と呼ばれる。その後、鳥インフルエンザや人インフルエンザウイルスの遺伝子もあることが確認され『パンデミックH1N1』2009ウイルス)と命名。日本では患者数が2000万人と、この20年間のうち最大の流行規模になった。

2010年8月にこの新型インフルエンザの流行状況はパンデミック後期、ポストパンデミックに移行したと宣伝され、インフルエンザの世界的な大流行の時期を終えたと言われています。現在はその名前をインフルエンザH1N12009と呼ばれて通常のインフルエンザとして取り扱われていますが、毎年、大きな健康被害をもたらしますので、ワクチンの接種などをして今後も警戒が必要です。

 

ホノルル各地で行われているインフルエンザの予防接種

インフルエンザのワクチン接種ができるところは、オアフ島の各所にあります。以下のリンクからVaccine finderを使い、自分の住居の近くをクリックすると、ワクチン接種ができるクリニックやセンターの情報が出てきますのでご参考に。2007年からはハワイで集団感染を防ぐためのStop Flu at schoolというプログラムがスタートしています。幼稚園、小学校、ミドルスクールに通う子ども達は、このプログラムを通して、無料でワクチン接種ができます。子どもの親はこのプログラムが適用されません。

今年は諸事情によりワクチン接種のスタートが1月から開始となり、遅れをとりました。このような場合は、普段から行きつけのクリニックで早めにワクチン接種をするようにとも呼びかけています。

 

 

http://health.hawaii.gov/docd/flu-hawaii/stop-flu-at-school/
ワクチンについてのState Health Departmentのお問い合わせは
☎︎808-586-8300 Centers for Disease Control

 

 

インフルエンザワクチン初体験  by ライター

今回ハワイで初めて、インフルエンザのワクチンを聖ルカクリニックで受けてみました。今までよく、秋になると『Free Flu Shot』というサインを薬局で見かけていたものの、1度もトライすることはありませんでした。

 

自分だけは大丈夫という妙な自信があったというか、単に面倒だったというか、まだ大丈夫と変に逃げていたような気もします。また、インターネットや噂で、ワクチンを打つと具合が悪くなると聞いたことがあり、だったらやらない方がいいのでは?とも思っていました。ワクチンも、一体なにでできていて、どういう作用があるのか、よく理解していませんでした。今回の取材で先生に色々詳しく伺うことができたおかげで、これは打った方が良いなと思いました。自分もインフルエンザについて、やっときちんと理解できた気がするので、読者のみなさんにも理解していただけると良いと思います。

 

肝心のワクチン注射ですが、まずは身分証明書と保険を提示して、コンセントフォームなどに記入してチェックイン。血圧、熱、体重などを計測し、健康状況も先生と相談した上で、しゃべっている間にチクっと左腕に注射が刺さり、あっという間に終了しました。

ナースの中村さんが『刺した場所が腫れてきたり、具合が悪くなったりしたらすぐに連絡くださいね』と言ってくださり、様子を見ていましたが、刺した場所が若干筋肉痛のような軽い鈍痛はあったものの、それほど気になりませんでした。当日はなんとなくだるい感じもしましたが、それがインフルエンザワクチンを打ったからなのか、初めてインフルエンザワクチンを打ったから勝手にそう感じていたのかは不明です。

 

また、不思議と、1〜2日、一瞬だけ鼻水が出たり、風邪っぽい症状が出て、すぐに消えるということがありました。もしかしたら前から潜伏していた別の何かが、体から出ようとしたからなのでしょうか。

 

数日経過するとそんな症状も全くなくなり通常通り。インフルエンザの免疫ができたのかなと思うと、なんだか嬉しくて、こんなに簡単に済むんだったら毎年受けようかな?と思った次第でした。

 

 

【取材協力】

中村 誠一
聖ルカクリニック 家庭医療ナースプラクティショナー、NPO法人 若葉ネットワーク理事 浅井力也アートミニストリー専属ナースプラクティショナー